研究内容
研究テーマ
- 外的な作用に基づく自律分散系の制御と応用に関する研究
- 生物,社会等のシステムにおいて,構成要素の局所的な相互作用だけでなく,外界との相互作用が,物質やエネルギー,そして情報的な側面から,自己組織的な特性に重要な役割を果たしています.こうしたシステムの抽象モデルの1つとしてセルオートマトンを用い,外的な作用によって生じるセルオートマトン上での自己組織的,また,創発的な現象の解析を通じて,外界からの影響を有効に扱う複雑なシステムに見られる特性を明らかにし,また,その応用を目指します.
- キーワード : セルオートマトン,遺伝的アルゴリズム,人工生命
外乱によって自己組織化する
セルオートマトンの進化的探索
外界との相互作用によって自己組織的な挙動を示すセルオートマトンにおける特性の理解と応用の可能性を探るべく,外乱による局所的な状態の改変をきっかけに,セルの状態種別の分布で表される大域的な状態を切替える問題を設定し,その遷移規則を遺伝的アルゴリズムによって探索しました [岩瀬2007].
上図は,進化実験で得られた2つの典型的な個体について,評価における様相と密度分布の推移を示したものです.(a) 正順サイクル.外乱によるセルの状態遷移と同じ方向で,様相上で優勢となるセルの状態が昇順に切り替わるサイクルです.外乱による変異が蓄積され,それが一定量を越えると大域的な状態の推移を起こします.(b) 逆順サイクル.正順サイクルとは逆に,セルの状態が降順に切り替わるサイクルです.外乱は,触媒のように,セルの降順方向の状態遷移を誘発することで大域的な状態の推移を発生させます.
人間とのインタラクションによって
自己組織化するセルオートマトン
遺伝的アルゴリズムによる探索で得られたセルオートマトンについて,ダイナミクスの直感的な理解を可能とするべく,人とセルオートマトンが相互作用するシステムを構築しました [岩瀬2008].
このシステム (上図) では,先のサイクリックな振舞いを生じたセルオートマトン[岩瀬2007]を用い,セルオートマトンの状態を表示する画面を観察するユーザの画像をカメラでキャプチャし,得られた画像から外乱の発生位置を定め,セルオートマトンに外乱を加えることで,人とセルオートマトンの間でインタラクションのループを生じます.
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